【読書メモ】転職の思考法

印刷業界の一企業に務め、このままこの会社にいていいのかを迷う主人公:青野が、有名な企業再生コンサルタント:黒岩に出会い、ひょんなことから転職についての思考法を学ぶという小説形式のストーリーに沿って転職の思考法について理解を深めていく。という内容の本。

読む目的

Twitterで『転職を悩んでいるか否かにかかわらず、すべての企業において働く人にとって良書』というツイートを見て興味を持った。そのため、そんなに明確な目的があって読んだわけでは無い。強いて言えば、『転職の思考法とはどういうことか疑問をもったので、働く上での考え方のヒントを得るため』

読書メモ

振り返れば、結局、仕事でダメな上司に付き合わないといけないのも、価値のない商品を嫌々営業しないといけないのも、予期せぬ異動に振り回されるのも、「いつでも転職できる」と確信できるだけの市場価値がないからではないでしょうか。もしその確信があれば、そんな嫌な仕事はすぐに辞めればいい。あるいは交渉材料にして会社を変えていけばいい。

自分のマーケットバリューを知る

君に必要なのは、まず、自分のマーケットバリューを理解することだ。マーケットバリューとは、市場価値のこと。市場価値とは、その名の通り、今の会社での価値ではなく、世の中からみた君の価値、君の値段だ。もしこの世の中に、会社が潰れても生きていける大人と、生きていけない大人の2種類がいるとしたら、両者を分けるのは何か。それが、『上司を見て生きるか、マーケットを見て生きるか』だ

君の給料はなぜ発生する?」

「なぜって、会社から言われたことを、ちゃんとやっているからでしょうか」

「それが、上司を見て働く者の発想なんだよ。まったく違う。 給料は、君が『 自分』 という商品を会社に売り、 会社がそれを買うから発生している。あくまで売り込んでいるのは君なんだ。君はたまたま今の会社を選んだだけで、会社は君をたまたま買っている。つまり、雇用とはひとつの『取引』なんだよ。マーケットバリューを理解するには、まず自分を商品として考えること

サウザーラジオで言っていた、資本主義の世界におけるサラリーマンの労働力の話に通じる。

「マーケットバリューはあくまで相対的に決まる。高い技術を持っていても周りが同じスキルを持っていたら価値は出ない。逆に君だけが持っているスキルは一気に価値が出る。だからこそ、『レア度』にこだわれ。そして『専門性』は誰でも学べば獲得可能であり、年を取るほど、差別化しづらくなる。一方で、『経験』は汎用化されにくい。だから、 20 代は専門性で、 30 代以降は経験で勝負すべきなんだ。

マーケットバリューを構成する3要素

・技術資産

・人的資産

・業界の生産性

これら3つを結んだ箱が大きいほど、給与の期待値が大きく、小さいほど給与の期待値は小さい。

20代は専門性・30代以降は経験を取れ

君は専門性と経験だと、どちらの価値が高いと思う?」

「うーん……やっぱりプログラミングなどを考えると、『専門性』でしょうか。『経験』はなんだか、ぼやっとしている気がします」

「半分、正解だ。じつは、年齢によって身につけるべき技術は違う。 20 代は専門性、 30 代以降は経験をとれ。これが結論だ。専門性は、誰でも学べば獲得可能だ。一方で、経験はそうではない」

20 代のうちはとにかく専門性で勝負しろ。なぜなら、経験は誰にでも回ってくるものではないからな」

「どういうことですか……?」

「つまり、専門性のある人間にこそ、『貴重な経験』が回ってくる、こういう構造なんだ。そもそも、『貴重な経験』は簡単に得られるわけではない。会社の重要なプロジェクトはいつも専門性の高いエース社員が任されるだろ? 当たり前だ。言い換えれば、専門性のないやつに打席は回ってこない。だから、 20 代は専門性を身につけて、それを生かして 30 代は経験をとりにいくのがベスト

業界の生産性

「君は、不思議に思わないか? 金融業界の人間が 20 代で2000万円稼ぐ一方、ウエディング業界の人間は 30 代後半でも200万円で働いている。両者は同じくらい忙しい。でも、 10 倍も給与が違う。なぜだと思う?」

「たしかに……コミュニケーション能力でいえば、ウエディング業界のほうが高い印象さえあります」

「そうだろ? それが三つ目。マーケットバリューを決める最大の要素、業界の生産性

凡人にとって重要なのはポジショニング

「いいか、特別な才能を持たないほとんどの人間にとって、重要なのは、どう考えても、どの場所にいるか。つまりポジショニングなんだ。そして ポジショニングは誰にでも平等だ。」

自分のような凡人にとっては、成長産業を選ぶこと=ポジショニングが必須だと思った。
強い会社というのは普通の発想と逆なんだよ。 いつでも転職できるような人間が、 それでも転職しない会社。それが最強だ。そんな会社だけが今の時代を生き残れる。だから、現代の経営者は考え直さないといけないんだ、優秀な人間が2年、3年でも、 御輿 を担いで一緒に頑張ってくれたら御の字だ
感覚で理解していたことがきれいに言語化されていてとてもスッキリする。

求人情報は世の中に山ほどある。パラパラ見るだけで一日が潰れるほどにな。そして結局わからなくなって転職のアドバイザーに話を聞き、言われるがままに受けてみる。こんなことが、毎日、何千、何万と繰り返されている。だが、それは結局、何も考えずに受けるのとほとんど変わりがない。 重要なのは、 先に論点を明確にすること。それが『働きやすさ』と『活躍の可能性』の二つだ。もちろん、事前に100%自分が何を求めているかを把握できる人は少ない。だが、君は新卒じゃない。就労経験がある。その経験を内省すれば、自分が求めているものを、ある程度は予測できるはず

そもそも私は、成長できる環境がいいとか言う人間が嫌いだ。 20 代ならまだ許せないこともない。だが、 30 代以降にとって、成長とは間違いなく自分の力で掴むものだ。だからこそ、自分が活躍できるかどうかを厳しく見極めろ。結局、成果を出しているやつにおもしろい仕事は来る。とくに 30 歳以降はな。

「いいか。以前私が会ったとある若者の話をしよう。彼も、君と同じように仕事にやりがいを見失っていた。だが、何も行動に移せなかった。なぜなら、その職場以外に居場所がないと思っていたからだよ。追い詰められた彼は、とうとうある日、スーツの胸ポケットに辞表を忍ばせた。もちろん、上司に出すつもりでだ。ただ、結果的に彼は辞表を出さなかった」

「なぜですか?」

「その日はじめて彼は言えたんだよ。理不尽な上司に、ノーとな。『会社を辞める』という選択肢を手にしたからだ。私が転職の思考法を勧めるのも同じ理由だ。転職の思考法を手にしたからといって、必ずしも、今の会社を辞めなくてもいい。個人の人生だ。正解はない。ただ、『 辞められない』 という思い込みの檻の中に閉じ込められたら、 どんな人間も必ず自分に小さな嘘をつくことになる

転職が悪だというのは、 新たな選択肢を手に入れる努力を放棄した人間が発明した、 姑息な言い訳にすぎない。人間には居場所を選ぶ権利がある。転職は『善』なんだよ。個人にとっても、社会にとっても

転職の際にいちばん気になるのは、やはり給料だろう。だがいいか。 迷ったら、 未来のマーケットバリューをとれ。転職を考えるとき、すでに給料が高い成熟企業と、今の給料は低いけど、今後自分のマーケットバリューが高まる会社とで悩むことがあるだろう。だが、現在の給料に惹かれて成熟企業に入っても、マーケットバリューを高められなかった人間は、本間部長のようにどこかで肩叩き、あるいは減給にあわざるをえない。覚えておけ。 この国の悪いところは、 その事実を 40 代後半まで本人に隠しておくこと なんだ。

好きなものを仕事にするということ

「好きなもの」はもちろん僕にだってある。音楽や映画はもちろん、食事やスポーツ観戦だってそうだ。でも、肝心なのは「どうしてもやりたいこと」がないことだった。黒岩は言った。

「君は馬鹿だな。どうしてもやりたいことがあるなら、そもそも、今、こんなところにいないだろ。重要なのは、どうしても譲れないくらい『好きなこと』など、ほとんどの人間にはない、ということに気づくことなんだよ。いいか? そもそも、君に心から楽しめることなんて必要ないんだ

仕事を楽しむ人間の2パターン

・to do(コト) に重きをおく人間……何をするのか、で物事を考える。明確な夢や目標を持っている

・being(状態) に重きをおく人間……どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する

「まず、あるグループの人間たちは、仕事の楽しみを『to do(コト)』で語っていた。たとえば、世の中に革新的な商品を残す、会社を大きくする、などだ。一方で、仕事の楽しみを『being(状態)』で語る人間もいた。たとえば、多くの尊敬できる人に囲まれている、世の中にこんな影響を与えている、のように。つまり、仕事を楽しむための方法論はそれぞれ異なる。そこを混同するから複雑になるんだ。君は自分がどちらのタイプだと思う?」

……僕は、to doを明確に持っている人に憧れます。でも、自分は後者だと思います」

「そうだろう。実際のところ、 99%の人間が君と同じ、 being型 なんだ。

自分もBeing型だと気づいた。ある程度好きなことはままあるが、本当の意味でしたいことなんてものは存在しないなあと。そして、本当にしたいことを探そうとし続けている。青野にすごく共感した部分。

being型の人間について

being型の人間は、ある程度の年齢になった時点から、どこまでいっても『心から楽しめること』は見つからない。だが、それでまったく問題ない。それは、何を重視するかという 価値観の違いであって、 妥協ではない からだ。being型の人間にとって最終的に重要なのは『やりたいこと』より『状態』だ

そもそも、多くの人間は、幼少期から勉強や、運動、仕事など多かれ少なかれ『何かしらの努力』を積み重ねている。そして常に『倒せそうで倒せない』ような、環境を経て成長する。つまり、being型の人間にまず、必要なことは、主人公である自分が環境に対して適切な強さであるかどうかなんだ

「なるほど。でもその強さって、ビジネスパーソンにとってはいったい何なのでしょうか?」

「それこそまさに、マーケットバリューだ。君の箱の大きさ、それがビジネスマンとしての強さなんだ。会社が潰れても生きていける強さ。だから私はまずマーケットバリューを高めろ、と話してきたんだ。つまり、 仕事を楽しむためには『 マーケットバリューがある程度あること』『 求められるパフォーマンスとマーケットバリューがある程度釣り合っていること』 は必要条件 なんだ

being型の人間に必要なもうひとつの要素は『環境の状態』だ。具体的には『緊張と緩和のバランス』なんだよ」 「……??」 「思い返してみろ。テストに向かって頑張り、テストが終われば解放される。部活でいえば、試合に向かって頑張り、試合が終わればリラックスする。仕事でいえば、大事なプレゼンに向かって頑張り、終わればリラックスする。つまり、人生は緊張と緩和の繰り返しでできているんだよ

being型の人間が好きなことを見つける方法

1:他の人から上手だと言われるが「自分ではピンとこないもの」から探す方法

2:普段の仕事の中で「まったくストレスを感じないこと」から探す

転職とは

転職とはな、単に名刺の住所や給料が変わるだけのものじゃない。世の中の人々に次のチャンスをもたらすものなんだよ。 今の会社では活躍できていなかったとしても、 違う場所で輝ける可能性がある人は本当にたくさんいる。それなのに、転職をタブー視して会社への忠誠という言葉で自分をごまかしている人間がどれだけ多いことか。そんな人間が増えると、いずれ会社そのものが立ち行かなくなる。そして人材の流動性が下がれば最終的には社会全体もダメになる

社会からの目など、死ぬ間際になると本当にどうでもいいことだ。どこの学校を出た、どこの会社に勤めた、そんなものは死を間近にするとまったく無意味だ。君がまだそのことを考える段階にいないなら、変わる必要はない。だが、もしも、君がやりたいことの種を見つけ始めたのだとしたら、決してその小さな種を殺していはいけない。そのやりたいことを大きくしていくプロセスを大事にしろ

「伸びている市場に身を置け。そして、そのうえで、自分を信じろ、青野よ」

終わり

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